by MintJams

Webタイポグラフィの革命児! text-wrap: balance と pretty を徹底解説

ウェブサイトのタイポグラフィを劇的に改善するCSSプロパティ text-wrap: balanceとprettyを徹底解説。見出しや本文の不自然な改行を解決し、読みやすく美しいレイアウトを簡単に実現する方法を、具体的なコード例と最新のブラウザサポート情報とともに紹介します。

ウェブサイトのデザインにおいて、テキストの読みやすさはユーザーエクスペリエンスを大きく左右します。特に見出しや短い文章が意図せず途中で改行され、見た目が崩れることは開発者にとって悩みの種でした。この問題に対する強力なソリューションとして登場したのが、CSSのtext-wrap: balancetext-wrap: prettyです。

以前はJavaScriptライブラリを使って見出しの改行バランスを調整する手法が一般的でしたが、CSSだけで同様の処理ができるようになったのは大きな進歩です。この記事では、それぞれのプロパティの特性と使い分け、そして実運用での注意点について詳しく解説します。


この記事でわかること

  • text-wrap: balancetext-wrap: prettyの役割と違い
  • 各プロパティの最適な使用シーン
  • 実践的なコード例と崩れ対策
  • 最新のブラウザサポート状況とトラブルシューティングのポイント

text-wrapプロパティの基本と実践

text-wrap: balance

text-wrap: balanceは、テキストの改行位置を調整し、複数行にわたるテキストの行長をできるだけ均等にするためのプロパティです。主に見出しやキャプション、ナビゲーションメニューなど、短いテキストに使うのが効果的です。これにより、単語の途中で不自然に改行されることを防ぎ、視覚的にバランスの取れた美しいレイアウトを実現します。

使用例

/* 見出しに適用して行をバランスよく整える */
h1 {
  text-wrap: balance;
  font-size: 2.5rem;
}

/* ナビゲーションリンクに適用して見栄えを良くする */
.nav-item {
  text-wrap: balance;
}

このプロパティは、テキストのレンダリング時にブラウザが最適な改行位置を計算するため、JavaScriptなどを使わずにタイポグラフィを改善できます。パフォーマンスへの影響もほとんどなく、ページの表示速度を損なうことなく導入可能です。

よくある失敗例:長文への適用

text-wrap: balanceは、パフォーマンス上の理由から、長い文章には適用すべきではありません。ブラウザは、要素内のテキストをすべて解析して最適なバランスを計算します。テキストが長すぎると、その計算コストが増大し、ページの表示が遅くなる可能性があります。MDNによると、実装上の制約でChromium系ブラウザ(Chrome/Edgeなど)は6行まで、Firefoxは10行までがバランス調整の対象です。


text-wrap: pretty

text-wrap: prettyは、可読性を高めるために、より自然な改行位置を考慮してテキストを整形するプロパティです。具体的には、行末に孤立した単語(ぶら下がり)を防いだり、ハイフネーションが不自然にならないように調整したりします。主に段落などの長文に適用することで、読み手にとってより快適な読書体験を提供します。prettybalanceと比べて計算コストが高めなため、本文など見た目と可読性を両立させたい場合に最適です。

使用例

/* 本文の段落に適用して可読性を高める */
p {
  text-wrap: pretty;
  line-height: 1.6;
}

/* 記事本文に広く適用する場合 */
.article-body {
  text-wrap: pretty;
}

text-wrap: prettyは、balanceのように行長を厳密に揃えるわけではなく、あくまでも自然な改行を優先します。これにより、読み手がテキストをスムーズに読み進められるようになります。


ブラウザサポートとトラブルシューティング

⚠️ text-wrap: balanceが効かない・崩れる場合

  • テキストが行数上限を超えていないか確認する:Chromium系では6行、Firefoxでは10行までが対象です。これを超える長文に適用しても効果はありません。
  • コンテナの幅に余裕があるか確認するtext-wrap: balanceは、ある程度のコンテナ幅がないと効果を発揮しにくいです。
  • フォントサイズやline-heightとの組み合わせtext-wrap: balanceはフォントサイズや行の高さに影響されます。これらのプロパティを調整して、より良い結果が得られるか試してみましょう。

チェックリスト

text-wrapプロパティ導入時の確認事項

  • text-wrap: balanceの適用範囲:見出し、キャプション、ナビゲーションなど、短いテキストに限定しているか?
  • text-wrap: prettyの適用範囲:段落など、長文の可読性を高めるために適用しているか?
  • パフォーマンスチェック:特にprettyを多数の要素に適用した場合、ページの描画速度に影響がないか確認したか?
  • 複数ブラウザでの検証:主要なブラウザ(Chrome, Firefox, Safariなど)で意図した表示になっているか確認したか?

まとめ

text-wrap: balancetext-wrap: prettyは、ウェブ開発におけるタイポグラフィの課題を劇的に解決してくれる強力なCSSプロパティです。balanceは短いテキストの見た目を美しく整えることに優れており、prettyは長文の読みやすさを向上させることに特化しています。それぞれの特性を理解し、適切に使い分けることで、ユーザーに快適な読書体験を提供できます。

2025年9月現在、balanceは主要なブラウザ(Chrome、Edge、Firefox、Safari)で広くサポートされていますが、行数に上限があります。一方、prettyはChromium系ブラウザで実装済みで、SafariもTechnology Previewで対応が進んでいます。導入時はCan I useで最新の状況を確認してください。

この記事が、あなたのウェブサイトのタイポグラフィ改善の一助となれば幸いです。ご覧いただきありがとうございました。


参考資料