Linux管理・運用の基本
システム管理者のための実践ガイド
システム管理者のための実践ガイド
Linuxサーバーを運用していると、サーバーの識別名であるホスト名を変更する必要が出てくることがあります。例えば、新しいサーバーをセットアップした際や、テスト環境から本番環境へ移行する際などです。ホスト名はネットワーク上の他のデバイスからサーバーを識別するために非常に重要です。この記事では、hostnamectl
コマンドを中心に、Linuxのホスト名を管理する基本的な方法を解説します。
本記事の内容は、Systemdを採用しているLinuxディストリビューション(例:CentOS 7以降、Ubuntu 16.04以降など)向けです。
hostnamectl
コマンドを使ったホスト名の確認方法hostnamectl
コマンドを使ったホスト名の変更方法(一時的・永続的)/etc/hostname
ファイルによるホスト名の設定方法/etc/hosts
ファイルとホスト名の関連性Linuxシステムのホスト名は、ネットワーク上でそのシステムを一意に識別するための名前です。Webサーバーやデータベースサーバーなど、サーバーの種類や役割を表す名前を付けるのが一般的です。
現在のホスト名を確認するには、hostnamectl
コマンドを使います。
hostnamectl
hostnamectl
はホスト名以外にも、OS種別やカーネルバージョン、アーキテクチャなどもまとめて確認できる便利なコマンドです。シンプルに現在の静的ホスト名だけを確認したい場合は、hostname
コマンドでも確認できます。
hostname
ホスト名を変更するには、hostnamectl set-hostname
コマンドを使用します。
sudo hostnamectl set-hostname your_new_hostname
例えば、ホスト名をwebserver01
に変更したい場合は、以下のように実行します。
sudo hostnamectl set-hostname webserver01
このコマンドで設定されたホスト名は、システムを再起動しても保持されます。これは永続的な変更となります。
/etc/hostname
ファイルを直接編集するSystemdに未対応のディストリビューションや、Systemdが導入されていない環境では、/etc/hostname
ファイルを直接編集する方法もあります。
sudo vi /etc/hostname
# 新しいホスト名を1行で記述
# 例: webserver01
変更後は再起動するか、sudo systemctl restart systemd-logind
などで一部サービスを再起動すると反映されます。ディストリビューションによっては、sudo service hostname restart
や/etc/init.d/hostname restart
で反映できる場合もあります。
検証作業などで一時的にホスト名を変更したいが、システムを再起動したくない場合があります。その場合は、hostname
コマンドで一時的に変更できます。
sudo hostname temp_hostname
ただし、この変更はシステムを再起動すると元に戻ります。永続的な変更が必要な場合は、hostnamectl set-hostname
を使用しましょう。
ホスト名が正しく解決されない場合や、特定のIPアドレスにホスト名を紐付けたい場合は、/etc/hosts
ファイルを編集します。これはDNSサーバーを使用せずに、ローカルでホスト名とIPアドレスのマッピングを定義するファイルです。
# /etc/hosts の例
127.0.0.1 localhost
127.0.1.1 your_current_hostname # この行はディストリビューションによって存在しない場合もあります
192.168.1.100 webserver01.example.com webserver01
/etc/hosts
編集時の注意
127.0.0.1
や127.0.1.1
の行は削除しないように注意しましょう。これらはシステム内部で利用される重要な設定です。変更後は、設定が反映されているかping
コマンドなどで確認してみましょう。
hostnamectl
コマンドには、ホスト名以外にもシステムに関する情報を設定するオプションがあります。知っておくと便利なものをいくつか紹介します。
hostnamectl set-icon-name server
:アイコンホスト名(GUIで表示されるアイコンの名前)を設定します。hostnamectl set-chassis server
:シャーシタイプ(PC, server, tablet, laptopなど)を設定します。hostnamectl --help
:利用可能なすべてのオプションを一覧表示できます。この記事では、Linuxにおけるホスト名の設定と変更について、hostnamectl
コマンドを中心に解説しました。ホスト名はシステム識別の基本であり、適切に管理することでネットワーク運用がスムーズになります。
ホスト名の変更は、以下のようなシーンで特によく使われます。
この記事が、Linuxのホスト名管理について理解を深める一助となれば幸いです。ご覧いただきありがとうございました。次回はシステム情報を確認する方法について解説します。